通信教育、ブロードバンド時代でも変わらない「最大の弱点」とは。

通信教育 大学 高校 資格 通信教育を、自分のため、そして家族の将来のために、これからひとつ始めてみようと、あなたは今考えていらっしゃるのでしょうか。

個人向けeラーニング市場の成長により、個人向け通信教育の分野は今後ますます伸びていくだろうと言われています。


さて、通信教育は、好きな時に自分のペースではじめられることや、スクールに通うことによる時間の拘束がない点などが大きなメリットと言えるでしょう。

テキストやカセットテープの送付による講座内容の消化が主だった昔に比べて、今日では、ブロードバンド(大容量通信)によるインターネット環境の発達により、自宅にいながらにして、講義内容をまるごとダウンロードすることだって可能です。


また、ネットにカメラとヘッドフォンを接続することによって、リアルタイムでの講座受講や質疑応答参加すら、自宅からごく手軽にできるようになりました。

このようなインフラの充実によって、通信教育のあり方が「一方通行型」から「双方向型」に変わりつつあるのは、とてもよいことなのですが、一方で、いまだに受け継がれている「通信教育の最大の弱点」もあります。

いったい、それはなんだと思われますか?

それは、「すべてがあなた任せ、自分ひとりの意思頼み」だということです。

通信教育は、緊張感と意欲をキープするための、事前の環境づくりが大切。


ネットの向こう側にいる先生は、あなたに必要な講義内容や情報は与えてくれるものの、仕事疲れでウトウトしているあなたを、きびしく注意してくれるわけではありません。


あなたがやる気をなくしているのをみて、臨機応変に、別の角度からもう一度、説明し直してくれるわけでもありません。

強制的に、あなたを机の前に引き戻して座らせてくれる人もいませんし、たくさんの聴講生に囲まれてプレッシャーを感じるような、教室での緊張感漂う雰囲気もありません。


通信教育でサポートの充実をうたっているところもありますが、これらはすべて、「あなたの講座に対する熱心さと意欲」が、その前提になっていることを、忘れてはならないのです。

当然ですが、やる気のない人を叱咤激励して、無理やり机の前に座らせてくれることまでは、サポートの内容には入っていないのです。


リラックスした自宅で、強制力のまったくない環境のもとで緊張感と意欲を持続することの難しさ。

これは、たとえ流行の『eラーニング』をとりいれた通信教育でさえも、昔とまったく変わらないデメリットとしていまだに生きています。


ですから、これから通信教育の受講を考える方は、

すべて一人でコントロールしながら講義を消化していく環境を、事前によく考え準備しておく

ことが、成果を最大限に引き出すために、きわめて大切になります。

 ・受講中は、会社の同僚とはアフターファイブのつきあいをしないと決め、周りにもそう宣言する。
 ・早く帰宅できる可能性の高い日を「講義の日」として、あらかじめ決めておき、その日に残業しなくてすむよう、仕事のスケジュールを事前調整する。
 ・家族に自宅での学習スケジュールを事前に告げて、守らない場合には注意をしてもらうよう、あらかじめ頼んでおく。

このようにいろいろなやり方が考えられますが、ポイントは、自分なりにやらざるを得ない、なにかしらの「強制力」を組み入れておくことです。


たとえば、講座を終了しない場合は、ペナルティとして、講座料金相当額を、月のおこづかいから奥様に差し引いてもらうなどは(笑)、シンプルですがよく効く方法です。


他にもそれぞれの状況に応じていろいろ考えられますので、、強制力・ペナルティを、自分の講座消化のプロセスに組み入れることを、ぜひ工夫してみてください。

「その通信教育は今のあなたに本当に必要か」を、もう一度考える。


通信教育をこれから受講しようとするあなたの決断に水を注すつもりはないのですが、その資格が本当に、「今とこれからのあなたの人生」にとって必要なのかどうか、よく考えましたか?


「ペン字」や「話し方」などの実用講座、「書道」「パッチワーク」などの趣味講座を受講するのならば、その趣味のために割ける時間が週に何回くらいになりそうか、そして今が講座受講にあたってもっとも適したタイミングなのかどうか等を、頭の中でイメージしてみる程度でもOKでしょう。

しかし、各種の資格試験に合格することを最終的に念頭において、通信教育による資格講座の受講を考えている場合には、もう少し慎重な判断が必要です。


たとえば、介護福祉士やケアマネジャーなどは、資格としては大変に人気です。

しかしながら、介護福祉士の有資格者が約47万人(2005年9月末)もいるにもかかわらず、実際に在宅介護事業や高齢者施設などで働く人はおよそ27万人であり、残る約20万人(なんと実際に資格を取得した方の4割強)が、資格を持ちながらも介護現場で働いていないとのことです(2007年8月24日付 読売新聞より)。

いろいろと事情もあるのでしょうが、苦労して資格をとったのに、こういうのは実に、もったいない話ですね。


あなたはいったい何のために、その資格を取る必要があるのか
を、よく考えてみましたか?


いちばんよいのは、家族や友人に「自分はなぜこの資格をとりたいのか」を、実際に口に出して説明してみることです。

きちんとその理由を説明できるようであれば、まず第一段階は合格。

しかし、「なんとなく、時間をもてあましているし…」とか、「就職人気資格ベスト5に入っているから、万一の保険として…」などという弱い動機では、資格取得以前に、講座の最終終了地点にすら到達できるかどうかすら、怪しいものです。


資格に準じる実用講座的なものとしては、他にもたとえば「手話」や「点字・点訳」など、マスターするのに時間と労力がかかるものがありますが、それらについても基本的には同じことが言えます。

たとえ講座を完全に終えたとしても、あなたは本当に、手話や点字を使うことが必要な環境に長い期間、身を投じる覚悟を、お持ちなのでしょうか?


自分が通信講座を受けようと思い立った「動機の強さ」が、ホンモノなのかどうかを、まず確かめる。

これは、非常に大切なことです。

最初のやる気を最後まで変わらずに保つのは、誰にとっても難しい。


高いお金を出して、自分の意思でやることにしたんだから、「私の場合に限って、そんなことはあり得ない!」、とおっしゃりたいところでしょうか。

しかし、残念ながら、人間の意思というのは、存外に弱いものです。


不思議なことに、高いお金を最初に一括で支払ったからといって、最初のやる気が最後までとぎれずに続く、というわけでもない
ようです。

むしろ、最初に一括で授業料を全額払い込んでしまうと、すでにその講座をマスターしてしまったような気にすらなってしまって、そのあとの講座内容を消化することには、身が入らなかったりするものです。


おそらく、教材やサービスの完全な所有権を手に入れてしまうことで、安心感が先にたってしまって、新鮮な気持ちを失い、緊張感が緩んでしまう面が、どうしてもあるのでしょう。

一括払いを分割払いとしたところで、同じことです。


仕事が忙しくなったりで授業の内容やカリキュラムについていけなくなると、内容を消化してもいないのに、せっせと分割でお金を払い続けている自分自身が妙に情けなく思えてきて、結局そのうちに忙しさにかまけて、「後でやろう」などと言い訳をして、ずるずると後延ばしにするようになってしまいます。


最終的には、通信教育で設定されていたカリキュラムからずいぶんと遠ざかってしまい、ついには挫折してしまったりすることが、現実には多いのです。

通信教育はマラソン、長丁場に耐える下準備が必要。


通信教育
は、たいていは講座期間が3~6ヶ月程度と、習得まで数ヶ月はみておく必要のある、長丁場なプログラムが多いはずです。


あなたは、数ヶ月間続けてひとつのことをやり遂げるというのが、意外と大変なことであるということに、本当の意味で気がついているでしょうか?


たとえば、あなたは年初、新年の誓いとして、「今年はこれを新たにはじめよう、マスターしよう」などと、なにかしら目標をたてたりしませんでしたか?

さぁ、時間が過ぎた今、そのときの新鮮な決意に、変化はまったくみられませんか?
そして、その時に決意してはじめたその事は、いまだに続いているのでしょうか。


「いやぁ、途中で挫折しちゃってね…」と苦笑いされている方、無理もありません。

人間とは、基本的特性として、なすがままでは安易な方向に流れてしまうものなのです。
それを防ぐため、なんらかの外的強制が必要になってくるのは、普通の人間にとってごく当たり前のことなのです。


ところで、ひとつのことを完全に習慣化するためには、飽きずに毎日同じことを、三週間程度は続ける必要があるそうです。


ふだん会社で働いたり、学校に通ったりしている人は、毎日の同じ時間帯に、同じことを三週間続けるということが、どれくらい難しいことかを、身にしみて分かっているはずです。


通信教育を受けている期間は、途中で飽きてしまわぬよう、要所要所で自分なりに、アクセントとなるイベントを入れたりして、あたかもマラソンを完走するように、自分を励ましながらやることも、意識してくださいね。

通信教育本体以外の周辺コストが、意外と馬鹿にならない金額に。


たとえば、パソコンを貸与する「初心者向けのパソコン入門講座」などがありますよね。

おそらく、パソコンの基本操作とか、必要なソフトウェアの使い方については、その通信講座の中で教えてくれるでしょう。


しかし、貸与されたパソコンがいきなりクラッシュしたとか、スパイウェアに感染してしまったとか、パソコンがいきなり不調を起こしてしまって、初心者にはどうすることもできない事態となることなどは、実はよくあることです。


こうなった場合、電話のサポートではらちがあかないですし、とりわけ初心者の受講者にとっては、パソコンをいったん送り返したり、修理センターで長い日数待たされたり、ウイルス対策ソフトを買いにいったり、修理品を引き取りに出向いたりしているだけで、結構な時間とおカネのロスになります。


時間のかかる非生産的なやりとりのなかですっかりウンザリしてしまって、パソコンをマスターすること自体が嫌になることだって、十分にあり得るわけです。
こうなってしまうと、完全に逆効果になってしまいますね。


加えて、修理センターに行き来するためのバス代や電車賃、自分のほうでパソコンの機械を修理に出したためにかかった費用など、そもそも通信教育関連として想定していたお金以外にも、想定外の追加コストが余計にかかってきて、それらが積み重なって、結構な金額になるときがあります。


こういう事例以外にも、たとえば講座を提供する企業側がサービスの一環として提供する、時おり開催される「スクーリング」などに参加した場合、スクーリング会場まで往復する交通費や参加費が、実費でかかってくる場合があります。


さらには、通信教育でひととおり学んだがよくわからない、講師に質問してもピンとこないといった場合に、その講座から離れて、自分で書店に出かけていき、関連する参考書や問題集などを買ってくる場合だってありますよね。


いくら通信教育を提供する企業側で、「これだけで十分」とPRしていたところで、思わぬところでの追加コストが、意外に大きくかかってくる場合があるのです。


さらには、通信添削のやり取りの時にかかる、切手代(郵送費)のようなこまごまとした出費だって、仮にすべて受講者側の負担として設定されているのであれば、金額が積み重なると、馬鹿にはなりません。


したがって、受講したい通信講座がある場合には、受講期間と想定されるコスト、なかでも上にあげたようなさまざまな関連費用が、「受講者側負担なのか、サービスを提供する企業側の負担なのか」については、受講申込みを決定する以前に、よく確認しておいたほうがよいでしょう。


なお、通信教育受講に関連するコストを下げるという意味では、もし割引制度が用意されているようであれば、それが使えるかどうかの可能性を、先に検討しましょう。


講座によっては、「シニア割引」や「グループ割引」、「複数講座受講の場合の特別割引」など、各種の割引制度が用意されていることがあります。


これらに該当するかどうかを、無料ガイダンスや資料請求のときなどに、適用される条件を含めて、よく確かめておくとよいでしょう。

通信教育をそれでも受けるなら、ここは最低限チェック。


講座の中身については、ウェブサイトの無料体験講座無料デモセミナーなどがあればぜひ参加して、使い勝手を良く確認しておくべきでしょう。


ただし、これらの無料体験講座の場合、主催する側も受講生(お客さん)獲得のために、普段より多少気合を入れていることが多いもの。

なので受講後に「あれ?無料体験講座のときはあんなに熱心にアドバイスしてくれたのに…」と思うこともあるかもしれません。

可能なら、隣り合わせた他の出席者と、いろいろと情報交換してみるのもよいでしょうね。


また、添削や質問制度スクーリングなどのサポート体制が整っているかなども、忘れずにチェックしておく必要があります。


講師の先生が著名だとか、参加者が多いとか、学校がCMで有名だからといった、外部からの評価だけで受講する講座を決定してしまうのは、リスクが高いです。


あなたにとって必要なのは、今の自分の目的と、投下するおカネ、そして受講する環境の三つにマッチしていて、そこから他の誰でもない「あなた」が、最大限の効果を得られるのかどうかを、慎重に確認することなのです。

教育訓練給付制度、利用しないほうがよい場合だってある。


最後に、その通信教育が、教育訓練給付制度の支給対象講座かどうかの確認は、必ず行っておきましょう(こちらのページから、検索・確認ができます)。


受講者は、一定の要件を満たすことで、この給付金を受けることができます。


雇用保険の一般被保険者(在職者または離職者)で被保険者期間が3年以上ある人は、申請することによって、教育訓練経費(入学金+受講料金)の合計額の20%が、10万円を上限として支給されます。


なお、初めてこの制度を利用する人に限り、被保険者期間が1年以上あればこの申請ができるという緩和措置が当分の間とられていますので、積極的に利用を検討してみましょう。

また、2007年9月30日以前に受講を開始していた場合には、前述した教育訓練経費の40%に相当する額が、20万円を上限として支給されます。


なお、制度の詳細については中央職業能力開発協会のホームページ、「教育訓練給付制度」の説明ページをご確認ください。


ただし、一言だけ申し上げておくならば、教育訓練給付制度の対象講座であるにしても、調べたあとでその講座の受講が、あなたにとって最終的にはしっくりこないという結論になったのであれば、給付金につられてその講座を受講するようなことは、やはりするべきではありません。


仮に、教育訓練給付制度の対象となっていない通信教育講座であっても、本当に自分にとって必要な講座であるという結論にいたったならば、支給金として目先のお金が支給されることがなくても、その講座を受講するほうが、長い目でみれば、あなたの成長にはより実りの多い結果をもたらすことでしょう。


「自分への投資」が第一目的であるならば、
一番に考えるべきは「投資効果」
です。

かかった費用は、その投資効果をはかるときに使用される、ひとつの変数にすぎません。
その点を、はきちがえないようにしたいものです。

通信教育にかかる時間とおカネ、そしてもうひとつの大切なこと。


通信教育の受講において、いくらかかるか、どれくらい時間を要するかといった「広義のコストは、確かに大切な問題です。


しかしそれ以上に、その通信教育を受講することが、「今のあなたにとってどうして必要なのか、受講によって何がもたらされることを望むのか、それをあなた自身最後までやりぬくための環境と強い意志が今のあなたにはあるのか」、そういったことを事前に自身で納得がいくまで、申込みの前に考えてみることが、実に大切なことなのです。


そして考えた結果、受講を決断したならそれも良し、あるいは「今は時期ではない」といったん見送って、次の機会をうかがうのもまた良し、でしょう。


さて、通信教育を受講しようとしているあなたに対して、申し上げたいアドバイスは以上です。

ここまでお読みくださって、どうもありがとうございました。


人生の時間は有限であり、あなた自身も他にやることが、たくさんあるはずです。


通信教育の受講ひとつとっても、あなたにとって有意義な選択となるよう、じっくりと十分に考えたうえで、結論を下すようにしたいものですね。






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